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ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家(横浜美術館)

 神奈川県横浜市にある横浜美術館では、現在「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展を開催中です。

 横浜美術館


 【展示趣旨】
 世界で最も著名な写真家のひとり、「ロバート・キャパ」ことアンドレ・フリードマン(1913年生/1954年没)が生まれて今年で一世紀が経ちます。しかしこの「ロバート・キャパ」という名が、当初フリードマンとドイツ人女性ゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ、1910年生/1937年没)の二人によって創り出された架空の写真家であったという事実は、あまり知られていません。

1934年にパリで出会い意気投合した二人は、1936年春に「ロバート・キャパ」という架空の名を使って報道写真の撮影と売り込みをはじめます。仕事が軌道に乗りはじめてほどなく、フリードマン自身が「キャパ」に取ってかわり、タローも写真家として自立していきますが、その矢先の1937年、タローはスペイン内戦の取材中に命を落とします。タローの存在とその死は、キャパのその後の活動にも大きな影響をおよぼしたといわれています。

本展覧会は、キャパとタローそれぞれの写真作品による二つの「個展」で構成されます。死後50余年を経てなお絶大な人気を誇るロバート・キャパと、その陰でほとんど紹介されることのなかったゲルダ・タロー。約300点にのぼる豊富な写真作品と関連資料によって二人の生涯と活動の軌跡を辿りながら、両者の深いつながりと個性の違いを浮かび上がらせていきます。


 先ごろ、NHKの「NHKスペシャル」及び「日曜美術館」を見ていたら、この展示について紹介されていたため、見に行ってきました。
 「ロバート・キャパ」というと戦争写真家としてあまりにも有名で、我が国でも大変人気のある写真家の一人なわけですが、今年生誕100年という節目の年に当たるそうです。
 ただ、お恥ずかしいことに私は彼の業績について多少の知識はあったものの、それほど強い関心は今までなかったです。

 ロバード・キャパ
 (ゲルダ・タロー撮影 現地ポスターより)


 展示趣旨にもある通り、もともと「ロバート・キャパ」という名前はハンガリー出身のユダヤ人、アンドレ・フリードマンと、ドイツ出身のポーランド系ユダヤ人、ゲルタ・ポホリレの二人の共同作業者としての架空の写真家の名前でした。
 二人は左翼活動家としてパリで出会い、意気投合し、公私共にパートナーとなります。
 アンドレとゲルタは撮影の舞台として戦場を選び、その作品を「キャパ」名義でマスコミに売り出します。
 やがて、アンドレ一人が「キャパ」を名乗るようになり、ゲルタは「ゲルダ・タロー」(この“タロー”という名はパリで交流があった故・岡本太郎さんの名前に由来するという)と名乗って写真家として自立の道を歩みます。
 しかし、ゲルダはスペイン内戦の取材中、戦車に轢かれて死亡。享年26歳という若さでした。
 ゲルダの死は「反ファシズムのヒロイン」として讃えられ、葬儀は国葬並みだったとのことですが、その後彼女の名は急速に人々の記憶から薄れ、一方、残されたキャパの方はその名声をますます高めていきます。

 
 ところで、「NHKスペシャル」で放映していたのですが、雑誌「Life」に掲載され、「ロバート・キャパ」の名を一躍有名にした「崩れ落ちる兵士」という作品がありますが、これは作家の沢木耕太郎氏が最近主張する説によると、アンドレが撮影したものではなく、側にいたゲルダが撮影したものだということです。しかも、撮影地はその時戦場ではなかったそうで・・・。
 「崩れ落ちる兵士」の謎については、沢木氏の近著『キャパの十字架』をお読みください↓↓↓

キャパの十字架キャパの十字架
(2013/02/17)
沢木 耕太郎

商品詳細を見る


 
 それにしても、ゲルダの死後、キャパ(アンドレ)はゲルダの事をほとんど語らなかったため、ゲルダの実像というのはつい最近までわからない事が多かったそうです。キャパにしてみれば、自分を支え、導いてくれたゲルダの存在にどこか後ろめたい思いがあったのでしょうか。
 しかし、今回の展示では当初はアンドレの影に隠れていたゲルダが徐々に実力を身に着け、自分自身の個性を発揮していく過程がわかります。そして、まだまだこれからという矢先にこの世を去らなければならなかった彼女の無念の思いが伝わってきました。

 一方、キャパの方は戦場の写真を撮り続け、またある時は日常の写真を撮影しているわけですが、その被写体はすべて「人」なんですね。建物などの写真は一切ないのです。彼はその生涯を通して、「人」を撮ることにこだわり続けたということがよくわかりました。
 キャパは死の直前、毎日新聞社の招聘で来日しています。その時、東京や大阪などで撮影しているのですが、そのほとんどが人の写真だったそうです。新聞社の方が観光名所を案内しても彼は関心を持たず、ひたすら道行く人々を撮り続けたそうです。昭和39年(1954年)にキャパの被写体になった人々はなんとラッキーなことでしょう。
 この後、キャパは都内で「Life」誌よりインドシナ戦争の取材を依頼され北ベトナムへ。そこで取材中、地雷を踏み死亡。享年40歳でした。「Life」誌の依頼がなければ、キャパはもう少し日本での写真を多く残したことでしょうね。

 今回、キャパ(アンドレ)とゲルダの写真展を見て、二人が生きた20世紀は戦争の世紀であったということを改めて強く感じました。
 そして、日常~非日常に生きる人々の姿を生涯一貫して撮影してきたところに、大きな価値があると思いました。
 また、キャパと交友があった有名人の写真などもあり、キャパと浮名を流した女優イングリッド・バーグマンのポートレイトははっとするほど美しかったですね。まあ、彼の初期の恋人であったゲルダも美しい人ですから、キャパは面食いだったんでしょうね(笑)この手の写真は戦争の悲惨な情景を撮ったものが多い中で唯一ホッとさせられます。
 
 テレビで紹介されただけあって、平日にもかかわらず多くの方々、若い世代から年配者まで幅広い世代の方々が見学に訪れており、美術館としても大成功の展示となったのではないでしょうか。
 男と女、ファシズム、戦争、ジャーナリズム・・・見る者によって様々なテーマを想起させられることでしょう。
 写真に興味のある方はぜひご覧になることをお勧めします。

 会期は今週末、24日(日)までとなっています。
  ※図録あり


 いつもご覧いただき、有難うございます。
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

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2010年5月、47都道府県踏破済み。(離島を除く)
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