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孫文と梅屋庄吉

 今月上旬、東京・上野にある東京国立博物館本館特別5室にて開催中の特別展「孫文と梅屋庄吉~100年前の中国と日本」を見てきました。(9月4日 日曜まで)
 東博へ来るのは1年ぶり?くらいですか、本当に久しぶりです。
 東京国立博物館
   孫文と梅屋庄吉1

 梅屋庄吉(1868-1934)は長崎出身の実業家で、「中国革命の父」と呼ばれる孫文(1866-1925)と国籍を超えて親交を持ち、物心両面で援助した人物です。梅屋は事業で儲けた金をほぼすべて孫文に援助し、貢いだ額は現在の貨幣価値でおよそ1兆円にものぼるということで、梅屋が亡くなった時には彼の財産はほぼすっからかんだったという話です。

 梅屋のもう一つの顔として、わが国における映画事業の草分け的存在ということが挙げられます。彼は日本最古の映画会社である「日活」の創設者の一人であり、白瀬中尉による南極探検の記録映画を製作したりしています。この時代の人にしては、バイタリティにあふれた人物だったそうです。

 ・・・とまあ、このように紹介記事を書いていますが、正直なところ、私はこの梅屋という人物についてほとんど予備知識を持たないまま、展示会場へ足を運んだわけです。「梅屋庄吉とは、いかなる人物だろう?」という好奇心あってのことです。

 孫文と梅屋庄吉2


 いざ、入場してみますと、全部で5章くらいにブースが分かれていたんですが、梅屋と孫文に関する展示はたった一つのブースのみで、残りは梅屋や孫文とは直接関係のない、19世紀後半~20世紀前半の中国や日本の風景写真で埋め尽くされているのです。
 それも、ほぼ東博で所有している写真ばかり。見ているうちに、「ん!?なんか、これは違うゾ」という違和感ばかりが沸いてきました。

 一言で言ってしまえば、この展示は単なる「風景写真展」になってしまっているんですね。孫文や辛亥革命に関する歴史的史料も皆無ですし、梅屋や孫文の人となりについても具体的な掘り下げが見られません。たとえば、梅屋は詳細な日記や書簡を残していたそうですが、それらに関する展示はなく、あるのは孫文や革命運動の志士、国民党の要人などと一緒に写った写真ばかり。
 これでは、梅屋がどうして全財産を投げうってまで、他国の人間である孫文を支援したのか、肝心なところの説明がないので、見学者にはまったく訳がわからないのです。
 どうやら、この展示を企画した人が美術系の人だったらしく、歴史的な視点に欠けているということが言えると思います。
 しかし、掲げたテーマと展示内容がここまでズレている展示は生まれて初めてで、「天下の東博なのに・・・」とびっくりしました。


  *********************

 戦後の日本と中国両者の関係は必ずしも良好なものとは言えません。現在の日本人も中国人も、それぞれの祖国をまったく別々のものとして考えていて、それで当然というところがあります。

 ところが、戦前までの日本人は、日本と中国というのを同じグループに属するものとして、モノを考えていたのです。
 すなわち、ヨーロッパ諸国を「西洋」と呼び、他方、日本と中国、それにインドを加えて、こちら側は「東洋」という風に、ひとつのグループとして考えていたのです。政治家、経済人、文化人、軍人に至るまで、このような考え方をしていた人物はとても多かったです。
 長くなるので今回は指摘だけに留めておきますが、おそらく、梅屋庄吉もそういう日本人の一人だったに違いありません。梅屋の場合、それが「大アジア主義」という思想に発展するのですが。

 日中関係史や思想史といった観点からもとても興味深い素材が折角用意されているにもかかわらず、「料理の仕方」を知らないというのか、見当違いの努力をしている展示内容だったので、ガッカリで帰ってきました。
 この日、梅屋の子孫で史料を所有しているレストラン日比谷・松本楼の社長の娘さんと、その父親である社長さんの姿をお見かけしました。
 蛇足になりますが、松本楼の社長夫人(この方は数年前他界されているという)が梅屋の孫娘にあたる方だったのです。現在は、その娘さん(梅屋の曾孫になる)が梅屋の史料を引き継いで管理されているということです。今回の展示は残念な内容でしたが、また別の機会にぜひ拝見させていただきたいものです。


 参考サイト 東京国立博物館ホームページ


 
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日本100名城スタンプラリー終了・・・2011年7月、根室半島チャシ跡群にて、無事100名城完全制覇しました。
2010年5月、47都道府県踏破済み。(離島を除く)
歴史の現場を、実際歩いて確かめることをモットーに、全国を行脚中。いつかあなたの住む町へ行くかもしれません。
東京生まれ東京育ち。
大卒後、音楽関係の仕事、専業主婦、現在は零細企業で総務関係の仕事をしています。

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