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シンポジウム『桶狭間を語る!!』

 「第一回 静岡戦國祭」の続きです。午後からは県立図書館の方で記念シンポジウム『桶狭間を語る!!』が開催されました。このシンポに参加するには事前申し込みが必要でした。
 聴講者は200人くらいでしたが、このうち半数以上の方たちが私も含め、静岡県外からの参加だったようです。

 司会は加藤理文氏(織豊期城郭研究会)、パネラーは小和田哲男(静岡大名誉教授)、中井均(長浜城博物館館長)、本郷和人氏(東大准教授)、宮下英樹氏(漫画家)の各氏です。

桶狭間を語る!!

 今回のイベントに協力した漫画家の宮下氏が『センゴク外伝桶狭間戦記』という作品の中で桶狭間合戦について描かれ、それにちなんで、桶狭間合戦の意義について語り合うというのが今回のテーマでした。

 若き日の織田信長が今川義元を討ち取った有名な桶狭間合戦ですが、長らく劣勢の信長が勝利したのは、信長勢による迂回奇襲策が成功したため、とされてきました。

 しかし、近年研究家によってこの定説に疑問が出され、新説が提起されております。
 藤本正行氏(歴史家)は『信長公記』首巻を今一度検討され、正面攻撃説を主張されました。また、黒田日出男氏(東京大学名誉教授 立正大学教授)は『甲陽軍鑑』を元に藤本説を否定され、今川軍の兵士たちが「乱取」に夢中になって陣が手薄になったところを、信長勢が直接今川義元の本陣へ攻め込んだという説を提起されております。

 これらの状況を踏まえて、桶狭間合戦について様々な観点から議論が行われました。1時間40分くらいの討論でしたが、パネラー各氏の発言内容も示唆に富んでおり、拝聴していて面白かったです。
 各発言内容すべてに言及するのは無理なので、一応、私的に印象に残ったことをまとめておきます。

 東大の本郷氏は、『信長公記』の内容に少々疑問を持たれているそうで、よく信長軍2000と言われますが、実際には1万5千くらいの軍勢はいたのではないか?という事を指摘されておられました。この頃の織田の尾張領と、今川の駿河、遠江、三河三国の石高はほぼ同等だったらしいという話でした。
 本郷氏によれば、『信長公記』の作者である太田牛一が、劣勢であった信長が数の上での大差を乗り越え今川方に勝利したことを強調するために、あえて軍勢の数を少なく記したのではないか?ということです。

 中井氏は、「自分はお城に関することしか言えません」とおっしゃり会場を沸かせた後、「唯一断言できるのは、信長が桶狭間で勝利しなかったら、安土城のような近世城郭の誕生は無かったということ。多分、土の城のままで石垣が築かれることはなかっただろう」と述べておられました。その他、静岡県内のお城について語っておられました。

 漫画家の宮下氏は、代表作『センゴク』を描く上で静岡県内を度々取材で訪れ、従来のひ弱な武将というイメージを払拭し、新しい今川義元像を描くことに力を入れたということでした。宮下氏は取材の過程で、かなり勉強していらっしゃる印象を受けました。

 小和田氏は当然のことながら静岡県の歴史には地元ですからとてもお詳しかったのですが、徳川家康と今川義元との「関係」に言及されていました。よく、家康幼少期の人質時代は辛苦に満ちたものと言われますが、実際は今川義元から厚遇されていたということでした。
 だからこそ、晩年の家康はかつて自分が人質生活を送った駿府にあえて隠居所を設けたというのです。


 以上簡単に内容を記しましたが、なかなか面白いお話が伺えました。結論的には、今川義元の復権や静岡県内の史跡に関心を持ってほしいといったところでしょうか。
 聴講者の方達も歴史に関心のある層だったと見え、皆一熱心に伯仲する議論に耳を傾けていました。

 歴史に詳しい専門家を招き充実した内容だったので私は満足でしたが、あえて一言苦言を申し上げるなら、会場となった県立図書館がメイン会場である駿府公園から少々遠かったことです。これはちょっと・・・と思います。
 県立図書館は静岡駅からバスで30分位の場所にあり、私はあいにく1時間1本しかないバスを逃してしまいました。仕方がないので、JR草薙駅まで電車で行き、そこからバスに乗りました。(40分位かかってしまいました)
 出来れば、次回からはもう少し駿府公園や静岡駅に近い所に別会場を設けていただきたいものです。(県内や近県の方は自家用車で行けばいいのでしょうが、遠方からの来場者はそうもいきません)

 パネラーの人選、テーマについては企画の方向性に真摯なものが伺えたので、ぜひ次回も楽しい企画が開催されることを願っています。
                    つづく
 


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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

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NoTitle

こちらでは、ご無沙汰致しております。

てか、全国各地を飛び回っていらっしゃいますね・・・(笑)

静岡県のイベントという事で、
>実際には1万5千くらいの軍勢はいたのではないか?
>従来のひ弱な武将というイメージを払拭

など・・・なるほどという感じも致しますが、(笑)
愛知県主催のイベントだったらきっとそんなことは言わないのでしょうね!
でも本当のところは、静岡県の上記のご意見に近いのではという気もしております。

勝者の都合の良いように歴史が書き変えられるは珍しくもありませんから・・・(笑)

Re: NoTitle

★がっきやのおじさん様

> てか、全国各地を飛び回っていらっしゃいますね・・・(笑)

★どうもお世話になっております。飛び回っているように一見見えますが、実は静岡以外は昨年秋のときのものです。諸事情により、この冬は引きこもっております(汗)


> 静岡県のイベントという事で、
> >実際には1万5千くらいの軍勢はいたのではないか?
> >従来のひ弱な武将というイメージを払拭
>
> など・・・なるほどという感じも致しますが、(笑)
> 愛知県主催のイベントだったらきっとそんなことは言わないのでしょうね!
> でも本当のところは、静岡県の上記のご意見に近いのではという気もしております。
>
> 勝者の都合の良いように歴史が書き変えられるは珍しくもありませんから・・・(笑)

★ゲームなどの影響で戦国ブームになっているので、「ご当地武将」をフューチャーしたいという希望があるのでしょうね。戦国時代から今までの400年の間、とくに江戸時代に作られたイメージというのもありますしね。

NoTitle

こんばんは!
このイベントで、静岡に来られていたのですね。
小和田先生は、存じていますが、漫画家の先生のことは
知りませんでした。
信長の横顔、かっこいいですね!
本当にこんなお顔だったら、惚れてしまいそう(笑)

しずか様

おはようございます。コメント有難うございます。
私もこの漫画家の方について全く知らなかったんです。まだ若い方でしたが・・・。
あっという間にすらすらと絵を描かれたので、やはりさすが漫画家だなあと感心してしまいました。静岡ですが、この他にも用事があり、すぐ日帰りしました。

桶狭間

桶狭間は、少人数で信長が奇襲をした定説しか頭になかったのすが・・
そうですか、正面攻撃説とか、大人数説とかあるのですね。
歴史って、これだから面白いのですね。

ところで、視聴者の写真を見ていると女性が多いようですが・・?

Re: 桶狭間

> 桶狭間は、少人数で信長が奇襲をした定説しか頭になかったのすが・・
> そうですか、正面攻撃説とか、大人数説とかあるのですね。
> 歴史って、これだから面白いのですね。

★merry様 コメントどうもありがとうございます。
 近年になって、これまでの定説を覆す新説が出てきているのは色々と面白いですね。


> ところで、視聴者の写真を見ていると女性が多いようですが・・?

★そうでもないです。たまたま、自分の席の近くに年配の女性たちがおられました。(50代~70代くらい)
 地元の方だと思いますが、熱心なお姉さまたちが多いですね。
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日本100名城スタンプラリー終了・・・2011年7月、根室半島チャシ跡群にて、無事100名城完全制覇しました。
2010年5月、47都道府県踏破済み。(離島を除く)
歴史の現場を、実際歩いて確かめることをモットーに、全国を行脚中。いつかあなたの住む町へ行くかもしれません。
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大卒後、音楽関係の仕事、専業主婦、現在は零細企業で総務関係の仕事をしています。

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